まず結論から
コモド島周辺の海はインドネシア屈指のダイビングエリアで、拠点になるのはラブアンバジョです。お目当ては、カラン・マカッサル(Karang Makassar)のマンタ、北部の根に集まる大型の回遊魚やリーフシャーク、そしてサンゴ礁本来の姿を今も保っているサンゴ。ただし、気をつけたいのが潮流です。コモドはフローレス海とインド洋のあいだに位置し、潮の満ち引きのたびに大量の海水が国立公園の中を流れます。初めての人でも潜れる穏やかなポイントがある一方で、リーフフックを携え、潮の時間を選んで臨む上級者向けのドリフトダイブもあります。ベストシーズンは乾季にあたるおおむね5月から10月上旬で、なかでも6月から9月がいちばん条件のそろう時期です。
本題に入る前に、正直にお伝えしておきたいことがあります。私たちが運航しているのは、シュノーケリングと観光の日帰りツアー、そしてピニシ船(Phinisi)のリブアボードです。ダイビングスクールではないので、ライセンス講習も行っていません。ここで紹介するのは、地元のツアー会社から見たコモドのダイビング事情と、タンクなしで同じ海を楽しみたい方に私たちの船がどう役立つか、という話です。
わざわざコモドまで潜りに行く理由
大きく分けて3つあります。
マンタ。 マンタポイント(Manta Point)の呼び名で知られるカラン・マカッサルは、砂地が長く続く水路です。マンタがプランクトンを食べに、またクリーニングを受けにやって来ます。流れのいい日は少し脇に控えて、目の前を通り過ぎていくマンタを眺めることになります。ダイバーとシュノーケラーの両方が楽しめるのは、実は珍しいことです。見られる数は季節やプランクトンの量で変わりますが、年間を通して多くの時期にマンタが現れます。
大物と健全なサンゴ礁。 北部のポイントは外洋に面していて、潮流が生き物を引き寄せます。群れをなすアジ、数百匹単位のニザダイの仲間、ネムリブカやグレーリーフシャーク、ときにはマダラトビエイも。バトゥ・ボロン(Batu Bolong)などのポイントでは、ハードコーラルとソフトコーラルの密度がこの地域でも指折りです。
狭いエリアに詰まった多様さ。 北には水温の高い穏やかな湾、南には冷たい湧昇流。マクロ生物、ドロップオフ、ドリフト向きの水路。そのすべてが、ひとつの国立公園の中にそろっています。

代表的なダイビングポイント
主なポイントと、それぞれの見どころ、実際に求められるレベルをまとめました。「レベル」は潮が動いているときを前提にしています。どのポイントも、いちばん面白く、いちばん手ごわくなるのがそのタイミングだからです。
| ポイント | 見どころ | レベル |
|---|---|---|
| カラン・マカッサル(マンタポイント) | 砂地のドリフトでマンタ、シュノーケルも可 | 全レベル |
| バトゥ・ボロン | サンゴに覆われた根、壁のような魚群 | 中級〜上級 |
| キャッスルロック(Castle Rock) | 沈み根に集まるサメと回遊魚 | 上級、リーフフック使用 |
| クリスタルロック(Crystal Rock) | 外洋の根、大きな群れ、透明度良好 | 上級、リーフフック使用 |
| コールドロン(ショットガン) | サンゴの庭へ一気に押し出されるドリフト | 潮が動くときは経験者向け |
| タタワ・ブサール(Tatawa Besar)とタタワ・クチル(Tatawa Kecil) | なだらかなサンゴの斜面、ウミガメ、比較的穏やかな流れ | 初級〜中級 |
| シアバ・ブサール(Siaba Besar) | 穏やかなリーフ、ウミガメ、チェックダイブに最適 | 初級 |
ダイバーが口をそろえて絶賛するのがバトゥ・ボロンです。小さな根の周りで潮が二手に分かれ、流れを受ける側には魚が群がり、反対側は流れを避けられる陰になります。サメを狙うなら北部のキャッスルロックとクリスタルロック。潮が強い日はどちらもリーフフックを使うダイブになり、経験者に限られます。ショットガンの通称で知られるコールドロン(The Cauldron)は、水路を抜けるうちに流れが加速し、最後はサンゴの庭の上に放り出されるドリフトダイブ。潮が弱ければ対応できますが、潮が大きく動く日は初心者向けではありません。
日帰りボートか、リブアボードか
コモドで潜る方法は2つ。どちらを選ぶかは、主に南のどこまで足を延ばしたいかで決まります。
日帰りボートは朝ラブアンバジョを出て、マンタポイント、バトゥ・ボロン、タタワ、シアバといった中部のポイントを回り、夕方には町に戻ります。滞在が2〜3日で、夜は陸のベッドで眠りたく、中部エリアで満足できる方(中部だけでも十分に見事です)にはこちらが正解。ダイビングをしない方には、私たちのコモド島日帰りツアーが、同じ海域をシュノーケリングと観光のルートで巡ります。
リブアボードは船に泊まりながら、日帰りボートでは届かないポイントへ向かいます。潮がいちばん緩むタイミングに合わせて潜る北の果ての根や、ヌサ・コデ(Nusa Kode)沖のような水温の低い南部のポイントです。1日に潜れる本数が増え、移動で失う時間は減り、日帰りのスケジュール任せではなく、条件のいい潮を選んで潜れます。公園全体を潜り尽くしたいなら、この方法です。私たちのリブアボードはピニシ船で巡る2泊3日の旅。船とルートの仕組みはコモド島リブアボードガイドで詳しく紹介しています。
このルートには、2026年に就航した2隻目のピニシ船によるBallona Phinisiのコモド島ツアーも加わりました。専用バスルーム付きの個室キャビンが8室、定員は最大25名です。

潮流と、本当に必要なレベル
ここはつまずく人が多いところなので、ぜひ2回読んでください。
コモドの潮流は、軽く背中を押される程度のものではありません。外洋にさらされた北部の根では流れが非常に強くなることがあり、潮に合わせて向きが変わり、深みへ引き込むダウンカレントが起きることもあります。経験豊富なダイバーがここでリーフフックを持参するのはそのためです。死んだサンゴの岩にフックを掛けて流れの中にとどまれば、フィンを蹴り続けて消耗することなく、目の前のショーを楽しめます。
ライセンスを取ったばかりだからといって、コモドで潜れないわけではありません。大切なのはポイント選びです。潮が穏やかなときのシアバ、タタワ、マンタポイントなら、中性浮力がそこそこできるオープンウォーターダイバーでも問題ありません。一方、潮が動いているときのキャッスルロック、クリスタルロック、バトゥ・ボロンは、5本目のログを付けにいく場所ではありません。良いショップは潮汐表を読み、経験に見合ったポイントに案内してくれます。ログが10本しかないのに、激流のキャッスルロックを勧めてくるようなら、それは通過儀礼ではなく、単に悪いショップです。ダイビングセンターには、経験本数と最後に潜った時期を正直に伝えましょう。
ぴったりの旅を選ぶ
ベストシーズン
狙い目は乾季にあたるおおむね5月から10月上旬で、なかでも6月から9月が最も安定しています。海は穏やかで船の運航も安定し、透明度は20〜30メートルまで上がります。これはコモド島のベストシーズンガイドで紹介している時期とも重なるので、コモドドラゴンとダイビングの両方を目当てに計画するなら、同じ月を選べば間違いありません。
読みきれないのはマンタです。暦ではなくプランクトンを追って動くので、年間を通して多くの時期に現れ、ほとんどの月でマンタポイントで出会えるチャンスは十分にあります。それでも、穏やかな海、良好な透明度、安定した船のスケジュールを求めるなら乾季に軍配が上がります。11月から3月の雨季は海が荒れやすく、港湾当局が船を港に留める日もときどきあります。
水温と持ち物
南国のつもりで荷造りしてきた人は、コモドの水温に驚きます。
北部のポイントは26〜29℃前後と温かいまま。南部はまったくの別物で、乾季にはインド洋からの冷たい湧昇流で18〜22℃まで下がることがあり、長めのダイブでは本当に冷えます。ウェットスーツは思っているより厚めのものを用意してください。
- 温かい北部でも、最低3mmのスーツは必要です。
- 冷たい南部のポイントが旅程に入るなら、5mmにフードを追加。快適さのためのオプションではなく、ダイビングを楽しめるだけの体温を保つための装備です。
- 流れのあるポイントでは、シグナルフロートとリーフフックを。信頼できるショップなら用意してくれますが、事前に確認しておきましょう。

シュノーケラーも楽しめます
ダイビングをしない方にもうれしい話があります。コモドは、いちばんの目玉であるカラン・マカッサルのマンタを、シュノーケリングでも同じように楽しめる数少ない場所のひとつです。水路が浅いので、水面に浮かんだまま、真下をゆったり泳ぐマンタを眺められます。シアバやピンクビーチなどで出会えるウミガメ、リーフフィッシュ、サンゴの庭も、シュノーケリングで十分楽しめます。私たちの日帰りツアーはまさにそのために組まれたもの。泳ぐ合間にビーチでのんびりしたいなら、ラブアンバジョのビーチガイドで立ち寄る価値のある浜を紹介しています。ダイビングよりシュノーケリングが旅の目的だと気づいたら、スラウェシ島のラベンキ島とソンボリ島のカルストの島々がおすすめです。石灰岩の奇岩と浅いラグーンが広がり、潮流を気にして1日の予定を組む必要もありません。私たちと同じ親会社が運営していますが、海の表情はまったく違います。
入園料やエリア区分など、公園全体の情報はコモド国立公園ガイドにまとめています。ダイビング、シュノーケリング、日帰りボート、リブアボードのどれにするかまだ迷っているなら、日程とダイビング経験を添えてWhatsAppでご連絡ください。どれが合うかを率直にお伝えします。自分たちが開いていないダイビング講習を売り込むことはありません。
よくある質問
コモドで潜るには上級ダイバーである必要がありますか?
いいえ、ただしポイントによります。潮が穏やかなときのシアバ、タタワ、マンタポイントといった中部のポイントは、中性浮力がしっかりできるオープンウォーターダイバーに向いています。潮が動いているときのキャッスルロックやクリスタルロックなど北部の根は、リーフフックの経験が必要な上級者向けです。良いショップは、ログ本数に合わせてポイントを選んでくれます。
コモドでダイビングするベストシーズンはいつですか?
乾季の5月から10月上旬で、とくに6月から9月が最も安定しています。海は穏やかで船の運航も安定し、透明度は20〜30メートル。マンタは年間を通して多くの時期に見られますが、条件がいちばん安定するのは乾季です。
シュノーケリングでもマンタは見られますか?
見られます。マンタポイントの名で知られるカラン・マカッサルは水深が浅く、水面に浮かぶシュノーケラーの真下で、マンタが餌を食べたりクリーニングを受けたりする様子を眺められます。タンクなしで楽しめる、世界でも数少ない一級のマンタポイントです。
コモドの水温はどれくらいですか?
北部は26〜29℃前後です。南部のポイントは、インド洋からの冷たい湧昇流の影響で、乾季には18〜22℃まで下がることがあります。北部なら3mm、南部も回るなら5mmにフードを用意してください。
ダイビング講習やライセンス取得はできますか?
できません。私たちが運航しているのはシュノーケリングと観光の日帰りツアー、そしてピニシ船のリブアボードで、ダイビングスクールではありません。ライセンスをお持ちの方のダイビングは、公園で営業するダイビングセンターでご予約ください。適したショップのご案内や、船、シュノーケリング、リブアボードの手配は喜んでお手伝いします。プランが決まったら、WhatsAppでご連絡ください。



